ぶらり、のほほんおやぢの旅 ~北斗星編~

9月16日、天気は快晴。

この日は休みを取った。都内にあるIT系企業に勤めている。IT系企業は休みが取りづらいといわれるが、いまいる会社に関しては比較的に自分の裁量で休暇を取ることができる。今回の旅も1ヶ月以上前に予定が確定したが、自分で予定を調整することで休みを取ることができた。

これから4日間、仕事のことを忘れて旅を満喫する。行き先は東北と北の大地だ。北の大地といえば北海道。あの広大な土地に向かって列車の旅をする。北海道は土地が広く、主要な駅間を特急で移動しても3時間ぐらいかかることが多い。北海道だけ地図の尺度を変えているのではないかと思うほどだ。まずは北海道に向かってから東北に下ってくる。北海道までは寝台特急を利用して寝ているあいだに移動する。

北斗星は上野を19時3分に発車する。上野に向かう電車の途中で友人と合流する。友人は午後まで仕事をこなしてからの参加だ。忙しい時期の旅となったようだ。

上野駅では夕食を購入するためにエキュートを見て回る。駅弁やお土産品が並ぶ。上野公園があるためかパンダをモチーフとした商品が多い。エキュートでは浅草今半の弁当を購入して、駅のコンビニでお茶を購入する。浅草今半といえば創業明治28年のすき焼きの老舗だ。浅草雷門の今半本店から分離独立して開店した。今半といえば人形町も有名だが、もともとは浅草今半日本橋支店として開業し、のちに分かれて人形町今半となった。いまでは同じ今半が5社ある。

車内で食べる食事を購入すると上野駅13番線に向う。ほどなくして寝台特急北斗星が入線してきた。上野駅は終端となっているため、北斗星は機関車で押されてバックで入ってくる。荷物車両の12号車、11号車の順で入線する。荷物車両の12号車は電源車両にもなっているため、機械を動かすグォーという轟音とともに目の前を通過していく。中ほどの7号車に食堂車のグランシャリオ、6号車にロビー車両が連結されている。以前は新幹線にもつながれていた食堂車も、いまでは同じ寝台特急のカシオペアなどの一部の臨時列車以外ではこの北斗星のみだ。つまり北斗星は唯一食堂車が連結されて定期列車である。

我々はB寝台個室のデュエットの2階に乗車した。B寝台は1階と2階に分かれおり、部屋番号の奇数番は1階、偶数番は2階となっている。ドアは暗証番号のロック式で、鍵を閉めるときに暗証番号を設定して、鍵を解除するときに設定した暗証番号を入力する。暗証番号は鍵をかける都度設定する必要がある。デュエットでふたりで利用する場合は暗証番号を共有しておくか、外に出るときは一緒に行動するほうがいい。室内はベッドが通路を挟んで向かい合わせに設置されており、通路側の天井に荷物置き場が、反対側に窓がある。半円形の小さいゴミ箱が置かれており、ライトや車内音楽のスイッチは進行方向側のベッドの窓際に設置されている。

北斗星はドンという音と少し大きめの揺れとともに動き出した。一般の列車とは異なってモーター車両がいくつか連結されているわけではなく、貨物列車のように機関車に連結されて引かれているためである。食堂車の夕食は予約制で3日前までにみどりの窓口で食事券を購入する必要がある。21時までは予約者のみのディナータイムとなっており、それが終了してからパブタイムとしてビーフシチューやハンバーグ、ピザなどの軽食とアルコールやソフトドリンクを販売する。パブタイムは誰でも利用できる。

我々は動き出してからすぐにエキュートで購入した浅草今半の弁当を食べた。弁当とはいえ肉がおいしい。さすがは浅草今半である。食後はパブタイムが来るまでは部屋でゆっくりと過ごし、パブタイムとなってから食堂車にお菓子を買いに行く。北斗星のストラップも購入した。気分は学生の修学旅行である。札幌に到着するのは翌日の11時15分だ。お互いにベッドに寝転んで夜景を見ながら会話を楽しむ。仙台到着が23時28分で青函トンネルは翌朝の5時頃に通過する。

列車がトンネルを走るときに聞こえる轟音とともに目が覚める。青函トンネルを通過中であった。休みだというのに、なんと5時起きだ。仙台に到着する前に力尽きて眠ってしまったようだ。トンネルを抜けるまでは布団の中で過ごす。そして、トンネルを抜けると北の国であった。本州とは異なって針葉樹が目立つようになる。あいにくの曇り空であったが広大な畑を臨むことができた。

函館到着の少し前ぐらいから食堂車に移動して朝食をいただく。和朝食と洋朝食を選ぶことができる。どちらも同じ1600円である。洋朝食を選択した。メニューは食前のジュースがオレンジジュースとリンゴジュースからの選択、パンとサラダ、ハッシュドポテト、スクランブルエッグ、ロースとハムとソーセージ、フルーツのヨーグルトがけ、デザートに夕張メロンのゼリー、食後はコーヒーか紅茶の選択だ。座席数が少ないので基本的に相席となる。

サラダにはコーン味のドレッシングがかけられているところが北海道らしい。そしておいしい。ハムも分厚い。ハッシュドポテトの量も多い。揺れながらも充実した朝食をいただくことができた。

やがて函館に到着する。函館はすべての列車がスイッチバックとなり、進行方向が逆となる。函館を6時42分に出発してからが長い。途中の落部駅では停車駅ではないのでドアは開かないものの後続の特急通過待ちを行う。特急なのに特急の通過待ちをするのは初体験だ。函館で下車して北斗星を追い越すスーパー北斗に乗り換えたほうが札幌には早く到着する。

JR北海道管轄内に入ってから北斗星の車内限定の記念品販売が始まる。先頭から車掌が各部屋を回るようだが待っていられなくて車掌の元まで向かう。友人は北斗星限定の小銭入れを購入した。最後のひとつだったようだ。まだ先頭だが小銭入れが最後のひとつということは、悠長に部屋で待っていれば購入することができなかったということだ。私は限定の懐中時計を購入する。小銭入れが1500円で懐中時計が8500円だ。

途中、線路に人影が見えたための緊急停車などのアクシデントがあったこともあり、最終的には13分ほど遅れて札幌に到着した。緊急停車時は車掌の案内がとても丁寧で「お怪我をされた方、飲み物をこぼされた方はいらっしゃいますでしょうか? 車掌が車内に伺いますのでお声をかけてください」ときた。飲み物をこぼしたことまで心配するなんてさすがはJR北海道である。

函館から札幌まで約4時間半ほどかけた旅もここで終了だ。最後は先頭の機関車を撮影してホームをあとにした。