お湯の揺らぎ
安らぎのひとときに感じる恐怖とは。
湯船にゆっくりと体を沈めていき、フーと一息つくと全身がほぐれていく。
風呂は癒しのひととき。
脱力感の中で目を閉じると身も心もほぐれていく。
そんなときに恐怖感からはっと目を見開いてしまうことがある。
大丈夫だ、揺れてはいない…
吊るしてあるタオルを見て、建物そのものが揺れていないことを確認する。
だが、もう目を閉じる気はしない。
あれから2年が過ぎたけど、身も心も揺れに敏感になっている。
大地震は人々の心に恐怖を植え付けていった。
日本が本当に地震から立ち直るのはまだまだ先なのかもしれない。
そんなことを思いながら湯船のお湯をすくい顔を洗った。