PDFの使い方を間違えている
PDFはWebのコンテンツには不向きだ。印刷用のファイルを送る、印刷物をスキャンしてアーカイブしておく用途に向いている。お知らせやプレスリリースに使うべきではない。申請書のフォームとしてのPDFも印刷して手書きさせては意味がない。
PDFとはAdobe Systemsが開発した文書フォーマットである。プラットフォームに依存しないファイル形式として広まり、一般的にも使われるようになってきた。最近の身近な例としては、タブレット端末などの普及で電子文書のフォーマットとして活用されている。本を何冊も持ち歩くことは大変なので、ドキュメントスキャナを用いてスキャンした本をPDFにしてタブレットに転送して持ち歩き、好きなときに好きな本を読むという用途だ。私も自炊という言葉ができる以前から本の電子化にドキュメントスキャナとAdobe Acrobatを使っている。以前からPDFというファイル形式には可能性を感じていてAcrobatもバージョン4から直近ではバージョン8までアップグレード版を購入してきたクチだ(9とXは見送った)。だが、以前からそうなのだが日本でのPDFの使われ方には疑問がある。
はっきり言っておきたいのはPDFをWebコンテンツにしてはいけない。
企業、国や自治体などの公的機関がお知らせやプレスリリースを掲載するときにPDFを用いることが多い。どうも公式な発表はPDFで行うべきという変な風潮があるらしい。このようなことをする組織がユーザーや国民のことを考えているとは思えない。見る人のことを考えているのであれば、ホームページでのお知らせ、プレスリリースにPDFは使わないはずだ。さまざまな企業のホームページを見てみると、PDFを使ってお知らせを発表しているところは、どうも上から目線な企業が多い気がするのは気のせいだろうか。
PDFは紙の文書フォーマットを維持しやすいので、印刷したときの見た目はすばらしい。そう、PDFは印刷用のフォーマットであり、Webに最適化されてはいない。電子文書に最適化された端末でようやく見やすく表示できるレベルのものなのだ。受け取る相手が印刷することを前提としてやりとりするためのフォーマットだ。それに、どちらかといえば資料をアーカイブしておき、必要なときに検索できるようにしておくためのフォーマットとして便利なものだ。Webブラウザで見やすいようなものではない。
もうひとつ言っておきたいことは、PDFのフォームを印刷させて手書きさせて郵送させるのはやめてもらいたい。
何らかの申し込みのための申請書のフォームとしてPDFをダウンロードさせる場合がある。そのPDFを印刷させて手書きさせて郵送で送るようユーザーに指示している組織が多い。なぜWebで申請を受けつけないのだろうか。なぜ手書きなのだろうか。いつまでこのような効率が悪いことをやっているのだろうか。Webのフォームで入力させたほうが記入ミスも事前にチェックできる。申請作業もWebで完結することができて効率的だ。企業にはその申請書が郵送する必要があるものなのかを真剣に検討し直して改善してもらいたい。もちろん、政治家や役所も紙の文書の必要があるものがどれだけあるかを真剣に議論してもらいたいし、電子文書やWebでの申請でも可能にできるものはどんどん法改正などして効率的な社会にしていってもらいたい。
どうしてもPDFがいいのであればそれでもいいが、印刷してから手書きという手順は必要だろうか。PDFには入力フォームを設定できて、また入力した内容をサーバーに送信して連携を取ることもできる。印刷させて手書きはおかしい。署名など、どうしても手書きが必要なものであれば、署名だけ手書きでいいはずだ。PDFのフォームにパソコンで入力できれば記入ミスを事前にチェックできる。PDFにはそういう機能がある。単純なミスで申請書のやりとり回数を増やすことを防ぐことができる。
つまりPDFを使うならちゃんと機能を使いこなすべきであるということだ。中途半端な機能でユーザーに負担をかけるぐらいならPDFは使うなと言いたい。
PDFはうまく使えば優れたフォーマットである。きちんと使いこなして効率化を図っていけば無駄を減らすこともでき、紙の使用も押さえられてエコロジーにつながる。とりあえず、組織の担当者はもっとPDFについて勉強しようよ。