小糸川周辺を散歩

お盆が終わり、風が少しだけ涼しくなってきて歩いてみたくなった。

夏の終わりはちょっと先だけど、扉の向こうから涼しさが少しだけ顔をのぞかせて、もう入ってもいいかどうかを伺っている休日。蒸し暑さはなくなり、夜になると寒さを覚えるぐらいのこの時期に、なんでもない道を歩いてみる。川沿いを歩いてみる。駅前を歩いてみる。

心地よい風を受けて外に出ると、普段は目にしない街並みの変化を楽しむことができた。

見慣れないカフェ、閉店してしまった本屋、営業しているのかどうか判別がつかない床屋、小さいながらもおしゃれな佇まいを見せるヘアサロン。都内に通勤していると、地元に疎くなっていく。たまに歩いてみると新たな発見があり、ちょっとだけワクワクを楽しめる。

川の中には大きな鯉が流れに向かってゆるやかに身をまかせて揺れている。川沿いを歩いていると目に入ってくるのは、コンクリートの花壇に咲いた一輪の白い花や黄色い田んぼ、高く伸びたヒマワリの花、アスファルトの隙間から顔を出す雑草、ジョギングコースのゴール地点にタッチする蔦植物。

仕事でストレスが多くなっていると、こんな何気もない景色が、魂の宝石から黒ずみを拭ってくれる。無言で優しく微笑みかけてくれる風は、歩いて少し汗ばんだ肌を優しく撫でていく。大丈夫、まだいけるよ。これから変えていけるよ。濁りが残った宝石の奥底から微かに届く声を聞きながら、新たな道を歩いていく決意を胸に、雲の向こうで輝く太陽を眺めていた。

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