夏はベストでお腹を守れ!

夏の季節は冷房の季節でもあります。冷房から体の冷えを守ることが、体調を良い状態で保つために大切になってきます。

夏——それは寒い季節。

いや、そんなバカな……

夏は暑い季節のはず……

そう思うのも無理はない。

事実、暑いのだから。

そして、確かに暑い。

外はね。

俺を待ち受けていたのは冷気であった。電車の中、オフィスの中、レストランの中、あらゆる場所で冬の寒さとは違う、体にズシンとくる不健康な冷気が俺の体に襲いかかってくる。冷たさの魔人と化した空気が上から容赦無く体に体重をかけてきて、肩の重さ、体全体のだるさを感じさせる。

もっともたちが悪いのは、冷気がお腹を撫で回したときである。冷たさに耐えかねた俺のお腹は、ギブアップの合図の代わりに大きいほうをもよおしてくる。

そんな冷気との戦いの中で、俺は自分の身を守る手段として、夏でもジャケットを着るようになった。ジャケットがあれば、冷気の攻撃を防ぐことができる。だが、夏の冷気は場所が限定されているので、常にジャケットを身につけていると、外に出たときが地獄であった。かといって、また冷気が襲いかかってくる場所に向かうのにいちいち脱ぐのもめんどうだ。脱ぐか脱がないかの葛藤を真夏の暑い中で繰り広げる日々が続いていた。

ジャケットを夏でも着ることは仕方がないことだと思っていた。

だが、そんな俺に声をかける奴がいた。

誰だ!?

声の主は俺の心の中にいるもうひとりの俺だった。

そのもうひとりの俺が、俺に向かってこう言った。

なぜベストを尽くさないのか?

そうだ、俺はベストを尽くしていなかった。「なぜベス」だ。なぜ、いままで現状に安穏としていたのだろうか。ベストを尽くすことはできる。そして、それはいまからでも遅くはない。

このことに気づいた俺は、ベストを着て行くようになった。ベストがあればお腹を守ることができる。電車の中、オフィスの中、レストランの中の空調によって生み出される冷気にも耐えられる。それでいて、袖がないので涼しさも確保できる。

なぜこのことにいままで気づかなかったのだろうか。

君も夏の冷気に体をやられているなら、鏡の前の自分に向かってこう唱えるんだ。

なぜベストを着ないのか?

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