GeoCitiesサービス終了
1997年から続いていた無料ウェブサイト(ホームページ)のホスティングサービスが2019年3月末で終了します。インターネット黎明期を支えたサービスで、自分のページを持つということを一般的にしたサービスでもありました。
私が初めてホームページ1を作ったのもGeoCitiesでした。別に何かを発信したいわけではなく、ただ単に自分のページを持つことができるということに憧れて、Windows 98に搭載されていた無料のウェブサイト作成ツールFrontPage Express2を使ってウェブページを作り、FTPツールを使ってアップロードしました。
GeoCitiesはテーマによって街の名前が分かれて仮想都市のようになっており、IT関連のことなら「シリコンバレー」、金融系のことなら「ウォール街」なんて名前がついて、それぞれの町の通りの番地にアカウントが割り当てられ、そこにホームページを作っていきます。容量は2MBまで。作成したページには自動でバナー広告が入ります。
最初のうちは、トップページ以外はリンクを付けつつも「工事中」書かれたページが表示されるだけの作りで、少しずつ写真をアップロードしたりしていました。いまなら工事中のページなんて表示しませんが、当時はトップページからリンクがあるということがホームページを作っている感じがしてよかったのです。まだ、ウェブサイトをどういう構造で作ればいいかとか、HTMLをどう書けばいいかとか、そういった知識がないままに、ただ自分のページを持ちたいというだけのモチベーションで作っていました。
トップページにアクセスカウンターを付けたり、掲示板をつけたりして満足していました。「xx人目のお客様です」と書かれた増えないアクセスカウンターを眺めながら、他のページを覗いたりして、テキストがメインのサイトで面白いネタを書かれているページを読みふけったり、いまのようなPVがどうとかSEOがどうとかいうこともなく、牧歌的な雰囲気でした。
そもそもGoogleなんて存在していなかったですし。当時のウェブ検索サイトはディレクトリー型が主流でYahoo!がメインでした。あとはInfoseekやLycosなどがあったと記憶します。Microsoftが運営していたMSNは重かったので避けていたり、そんな感じでした。ブラウザーはIEとNetscape Navigatorで、ほぼIEが主流でした。
当時のウェブサイトといえば、背景画像をテキストとのバランスを考えずに配置して読みづらいページになっていたり、画像もそれほど大きなものを設置できないので、ギザギザな状態だったり、フォントだって読みづらかったり、とりあえず目立つことがいいとされていたので、文字が点滅したり、横から流れたり、ブラウザーのステータスバーにも文字を流してたりして、「ほら、おらのホームページだ! すごいだろ」という状態のものばかりでした。
GeoCitiesに昔ホームページを作ったことがある人なら、もし、いまページを見たら「うわぁー」とのたうちまわってしまうぐらい黒歴史だと感じてしまう人が多いのではないでしょうか。
そんな一時代を築いたサービスが終了となってしまいます。
終了スケジュールは次の通りです。
- 2019年1月10日: 新規開設、有料プラン購入の終了。
- 2019年3月31日: ページ表示、管理画面の利用、FTPの利用の終了(データ削除、ダウンロードのみ可能)。転送設定申し込み期限。
- 2019年9月30日: 転送停止。
- 2020年3月31日: 全データ削除。
現在は利用していないので、困りはしませんが、ウェブサイトを作るという文化を支えたサービスが終わるというのは、少しだけ寂しかったりします。中には更新を続けているサイトもあるようですし、そういったサイトが移行せずに消えていくのもそうですが、無駄に残った牧歌的なホームページという歴史的遺産が消えていくのは、ひとつの文化が失われていく、そんな風に思えてなりません。
すでに海外版は2009年に終了しており、日本のみで継続している状態でした。サービス終了の理由をYahoo! JAPANは次にように述べています。
サービス終了の理由は、一言では説明できません。採算面や、今後システムを維持するためのテクノロジーに関する複数の課題などを総合的に判断した結果、これ以上の継続は難しいという判断に至りました。
また、更新されていないページも規約の乗っ取って削除できるものの、できるだけ残す方針で運用を続けてきたとの記載もあり、できるだけ当時の「ホームページ」という文化を残そうとしてきたことを感じさせます。
寂しくはありますが、ひとつの時代が終わったんだなという感慨深い思いでもあります。
インターネット黎明期に無料のホームページ(ウェブサイト)掲載サービスとして登場してくれて、そしていまのいままで残ってきてくれてありがとうという言葉を送りつつ、この記事を終わりたいと思います。