プログラマーじゃなくてもドキュメント管理でバージョン管理ツールを使おう
バージョン管理ツールはソースコードのバージョンを管理するために用いるツールだ。いざというときに編集する前の状態に戻したり、複数のファイルでバージョンの同期を取ったりする。この仕組みを普通のドキュメントでも利用すると便利だ。
ソフトウェアを開発するときにはバージョン管理ツールを用いる。チームで開発するときに、ファイルのチェックイン・チェックアウトという仕組みを用いて誰が編集しているか履歴が取れるし、排他をかけて編集中に別の人が編集できないようにもできる。変更の履歴がすべて記録されるので、以前の版に容易に戻ることもできる。複数のファイルを多人数で編集するときに便利だし、ひとりで用いる場合でも編集の記録が簡単に取れるので、いざというときに力を発揮する。
この仕組みをプログラムのソースコードの管理だけに使うのは実にもったいない。Officeなどの一般のドキュメントファイルの管理にも用いるといい。本来の仕事ではないファイルのバージョンやライブラリー管理をバージョン管理ツールに任せてしまえばいいので、余計な仕事をしなくてもいい。ファイルを編集しているときに版が複雑になってわからなくなることもなくなるので、戻り作業などの手間もなくなる。何よりすべての変更の差分が記録されるので、ファイルの編集に躊躇することがなくなる。触っていいかどうかわからなくないとか、ちゃんとバックアップを取って触らないとということがなくなる。思い切って編集することができる。
なお、バージョン管理ツールは一度テスト導入してみて、機能や使い勝手を確認して、それから運用ルールを決めて本格導入に入るのがいい。私はSubversionというオープンソースのバージョン管理ツールを使っている。Windows用のGUIソフトTortoiseSVN(エクスプローラーの拡張機能)もあるので、Windowsでバージョン管理をするならSubversionが便利だ。クロスプラットフォームで使えるソフトウェアなので、もちろんLinuxやMacユーザーでも大丈夫だ。使っている人が多いので、使い勝手や管理方法、運用ルールに関するテクニックは検索するとすぐ出てくるのが安心できる。
私の場合は公開しているWindows用のフリーソフトやAndroidアプリのソースコードの管理のほか、ホームページのファイルもSubversionを使っている。そしてバージョン管理ツールのデータベースファイルをSugarSyncを使って同期させて、クラウドに保存するようにしている。こうすることでバージョン管理ツールで変更履歴を管理するだけでなく、それら変更履歴をクラウドに保存することでバックアップを常にとっている状態にすることができる。たとえパソコンが壊れても、バージョン管理ツールで管理していたファイルはいつでも取り出すことができる(もちろん、SugarSyncにちゃんとお金を払い続けられればだが)。
バージョン管理ツールとクラウドのストレージサービスの連携で、安心して仕事や趣味などの作業に取り組むことができるようになる。まずはバージョン管理ツールを導入するところから始めてみよう。